この記事には『Fate/Zero』と『Fate/staynight』のネタバレが含まれています。
全て遠き理想郷 (アヴァロン)といえば、衛宮切嗣のサーヴァントである”アルトリア・ペンドラゴン”の持つ聖剣”約束された勝利の剣 (エクスカリバー)”の鞘ですね。
全て遠き理想郷はただの鞘ではなく、有者の傷を癒す宝具としての能力を持っています。
アルトリアは切嗣が自身を召喚したときに、全て遠き理想郷を触媒にした事を知っています。
彼女は全て遠き理想郷があれば、聖杯戦争を優位に進めれると思っていたはずです。
なぜアルトリアは切嗣に全て遠き理想郷 (アヴァロン)を返却するようにお願いしなかったのでしょうか? 今回はその理由を考えていきます。
目次
全て遠き理想郷 (アヴァロン)とは
アルトリア・ペンドラゴンが持つ聖剣”約束された勝利の剣 (エクスカリバー)”の鞘です。
あらゆる傷を癒す能力があった為、モルガン・ル・フェイという魔術師に奪われてしまいました。
モルガンはブリテンの転覆を狙う魔女であり、アルトリアを倒すために彼女を元にした人工生命体である”モードレッド”を製作します。
しかしモードレッドはモルガンの意に反して、アルトリアの事を尊敬するようになり、彼女に使えるようになりました。
アルトリアはモードレッドを自分の息子であると認めたのですが、跡継ぎにはふさわしくないとも伝えた為、モードレッドはアルトリアを憎むようになりました。
最終的にアルトリアはモードレッドの裏切りによって命を落としています。
アルトリアが死んだのは、モードレッドを生み出したモルガンのせいだと言えるでしょう。
ちなみにモードレッドは『Fate/Apocrypha』にてセイバークラスのサーヴァントとして召喚されます。
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所持者の傷を癒す
全て遠き理想郷を所持している人間は、どんな致命傷を受けたとしても、アルトリアの魔力を得るだけで瞬時に回復できるようになります。
作中前半では切嗣の妻であり、彼の代理のマスターとして戦場に向かった”アイリスフィール・フォン・アインツベルン”が全て遠き理想郷を持ちました。
アイリスフィールが自分の命が失なわれるような攻撃を受けた時には、全て遠き理想郷をもっているおかげでアルトリアに触れるだけで傷が癒え、一瞬にして攻撃を受ける前の状態に戻りました。
作中後半にてアイリスフィールは全て遠き理想郷を切嗣に託します。
それによって切嗣は、使用した後に大きな反動を受ける魔術・固有時制御を連発して行うことが出来るようになりました。
ただし全て遠き理想郷はあくまでも所有者の傷を癒す宝具であり、傷の痛みそのものを消すのは不可能であり、魔術の反動や敵の攻撃による痛みは消す事が出来ません。
あらゆる物理攻撃をシャットアウトする
全て遠き理想郷の本来の所有者であるアルトリアが持った場合、鞘を展開することによりあらゆる物理攻撃をシャットアウトする、最強の防御宝具になります。
『Fate/staynight』ではアルトリアが全て遠き理想郷を展開することにより、ギルガメッシュの最強宝具”乖離剣エア”から放たれる”天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)”も無効にしています。
『Fate/Zero』でアルトリアが切嗣から全て遠き理想郷 (アヴァロン)を返してもらわなかったのはなぜか
アルトリアは切嗣が全て遠き理想郷を管理していることを知っているはず
私があの鞘の持ち主であることを疑われたのは、正直なところ不快でした。
このセリフは文庫版『Fate/Zero』1巻の155ページにて、アルトリアがアイリスフィールに言ったものです。このセリフから以下の情報が読み取れます。
- アルトリアは全て遠き理想郷を触媒として召喚されたこと
- マスターである切嗣が全て遠き理想郷を管理していること
アルトリアは切嗣が全て遠き理想郷の保管場所を知っていると思っている可能性が高く、全て遠き理想郷を返して欲しいと思ったのであれば、切嗣と交渉していたはずです。
アルトリアは全て遠き理想郷が自身以外に効果をもたらすとは思っていないのでは?
『Fate/Zero』にて全て遠き理想郷の効果が初めて発動したのは、言峰綺礼を切嗣と接触させないようにするために時間稼ぎをした時でした。
言峰は魔術師狩りを行う”聖堂協会の代行者”である上に中国拳法の達人です。彼はアイリスフィールの肉体を軽々と粉砕しました。
重傷を負ったアイリスフィールですが、体内に全て遠き理想郷を封入していた為、アルトリアに触れた瞬間に傷が癒えました。
その瞬間を目撃したアルトリアは、アイリスフィールの予想以上の異常な回復速度に驚いていました。
もしアルトリアが全て遠き理想郷の能力を全て把握していたのであれば、アイリスフィールの回復速度に全て遠き理想郷が関わっていることを容易に予想できたはずです。
おそらくアルトリアは全て遠き理想郷の能力が、自身以外に適応される事を知らなかったのではないかと思いました。
切嗣はアルトリアを信用していない
第四次聖杯戦争にて切嗣とアルトリアの相性は最悪でしたね。
切嗣は多くの人間の命を守るためとは言え暗殺などの汚い手段で戦う為、戦闘に対して高尚さや誇りなどを持ち込む英霊達のことを快く思っていなかったからです。
またアイリスフィールは、切嗣が幼い少女であるアルトリアに「王」という責務を押し付けたブリテンの民達と、それを受け入れた彼女に怒っていると予想しています。
切嗣はアルトリアという人間の生き様を否定しており、彼女を拒絶して会話をしようと思いませんでした。
なので 全て遠き理想郷をアルトリアに返すのではなく、アイリスフィールに渡して他のマスターから攻撃されてもすぐに治癒できるようにした方が良いと考えたのだと思います。
結論:アルトリアは全て遠き理想郷よりも聖杯戦争に勝つことを優先していたのでは?
アルトリアは全て遠き理想郷よりも、聖杯を取るのを優先した為、切嗣に聖杯を返すようにお願いしなかったと考えました。
アルトリアは全て遠き理想郷には、自分以外の人間を癒す効果がある事を知りません。なので自身が聖剣の鞘を持っていた方が良いと思ったはずです。
しかし彼女とマスターである切嗣との仲は悪く、鞘を返すように交渉する雰囲気ではありません。
その上自身が切嗣に「鞘を返せ」と言った場合、最悪に近いような関係性がさらに悪化してしまう恐れがあります。
またアルトリアは切嗣の妻であるアイリスフィールと長く接することにより、彼女の影響を受けて切嗣の性根は腐っていない人間だと思ってしまったはずです。
作中前半でのアルトリアは、切嗣との関係が良くなるのを少し期待していたのだと考えました。
作中後半にて切嗣がディルムッドを自害に追い込んだタイミングで、2人は決別することになりました。
この時のアルトリアは切嗣から全て遠き理想郷を返してもらうよりも、聖杯戦争を勝ち抜く事を優先したので、切嗣から鞘を返すように言わなかったと思います。
あと切嗣が自身の行動を縛る令呪をもっていたので、迂闊な発言や行動は出来なかったはずです。
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