「サッカー漫画において試合の勝敗を決める最も重要なものはなんでしょうか?」
ほとんどの人が「超能力」とか「必殺技」「才能」などを挙げると思います。
そのとうりですね!
わたし達はサッカー漫画を読むことで、超人離れした選手の活躍に、心を躍らせていました。
才能がある選手が必殺技を使いチームを勝利に導く。その姿はカッコよく、正義であり誰にも否定することはできません。
しかしこれまで我々に感動を与えてくれた才能がある選手の「必殺技」以上に試合の勝利に大切なものも存在するようです。
その「必殺技」を超える究極の必殺技とは、チーム全員で行う「戦術」です!
本作『TIEMPO―ティエンポ―』では戦術的サッカー「ポジショナルプレー」の可能性や、その面白さをとことん追求したものとなっています。
選手たちが戦術を使う姿は、天才たちのスーパープレイと比較すると地味ですが、本作を見ていると戦術の無限の可能性を期待してしまい、なんだかワクワクしてきました。
同じサッカー漫画だとティエンポも面白いですよ。
— 井上郁@記号論の使い手 (@semiotics_labo) 2019年6月21日
マガジンには居そうにない漫画家さんです。
ここまであたかも自分が見つけた作品のように語ってきましたが、実は一緒にお仕事させていただいたことのある井上郁(@semiotics_labo )さんにおすすめいただいた作品です。
ありがとうございました!
『TIEMPO―ティエンポ―』のあらすじ
本作の主人公は中学からサッカーを始めた少年・瀬戸柚樹。
彼は優れたボールコントロール能力を持っていたのにも関わらず、天才プレイヤー・朝美圭右と一緒にプレイをしていたことにより、自分の実力に自信を持てませんでした。
そんな柚樹ですが、朝美無しでもサッカーができるという自信をつけるために、ある特別なサッカーをする「県立春日高校」へ進学することに決めました。
「県立春日高校」で行われる特別なサッカーとは、チームメイトがピッチ上で正確なポジションを探し続ける戦術的サッカー「ポジショナルプレー」。
本作は主人公の柚樹が「ポジションプレー」と出会い実践していくことで、サッカー選手として大きく成長していくストーリーとなっています。
本作を読んだ感想
わたしは本作を読んだ時にこのようなツイートをしました。
サッカーの試合展開が非常に分かりやすくて面白かったですよ
— 量産型01号 (@Rshiro0001) 2019年6月21日
細かい試合のポイントなどが、サッカーを真剣にやったことのない私にも理解できました!
『TIEMPO―ティエンポ―』は戦術的サッカープレイがテーマの漫画なのにも関わらず、選手たちが行なっている高度な「戦術」がとても簡単に理解できます。
わたしのサッカー経験は中学校で遊びでやったぐらいであり、そこまで知識がある訳ではありません。本作では難しい戦術を、わたしのような素人でも分かりやすく説明してくれました。
例えば選手たちの15通り以上あるパスコースを図解で載せることにより、チームが行なっているプレイの複雑さが一目で分かりました。
それに加えて試合にて選手たちがその複雑なパスを使用して戦局を有利にすることにより「このパスはこういう意味だったんだ!」としっかりと理解できるのです。
本作では図解で一度、実際の試合で二度「ポジショナルプレー」のパスを解説しています。
なのでサッカー経験の無いわたしでも、チームメンバーのプレーの意図がきちんと読み取れました。
プレーの仕組みが分かればそれだけで頭がスッキリした気持ちになり「爽快感」がありました。
その気持ち良い爽快感と同時に、チームのプレイ同士がうまくハマった時の「嬉しさ」も加わります。
選手たちが「ポジショナルプレー」行い試合を優位に進めるにつれて、戦術が上手くいった時の「爽快感」と「嬉しさ」を同時に感じ取れるのです!
「ポジショナルプレー」を身につけるためには「必殺技」並の練習が必要
主人公たちがチームに入ることによって身につけることになる戦術的サッカー「ポジショナルプレー」。
それを習得するためには、超能力サッカー漫画のキャラが「必殺技」を身につけるのと同じぐらいの努力を必要とします。
例えば本作の主人公である瀬戸柚樹は、高校のサッカー部に入部するや否やひたすらリフティングの練習をさせられます。
リフティングはボールを地面に落ちないようにける基本的な練習で。そんなのはどんなにサッカーの知識がなくても分かります。とてもではありませんが全国出場を目指すサッカー部の練習とは思えませんよね。
しかし新入部員たちがリフティングの練習をすることにより、それが「ポジショナルプレー」を行うのに必要なボール捌きの基礎がギッシリ詰まっていることが判明します。
どの選手も打ち上げるボールの回転の向きや、脚の使い方が全然なっていなく「ポジショナルプレー」を正確に行うレベルに達していなかったのです。
そのことが判明してからは、「ポジショナルプレー」を習得すべく基礎的なリフティングの練習でも一生懸命にやる選手が大幅に増えました。
本作は選手たちが「ポジショナルプレー」を身につけるための過程を、序盤からストーリー性を持たせて丁寧に描写していました。
それにより「ポジショナルプレー」の難しさをしっかりと理解できるので、試合シーンのプレイにも説得力が増します。
「戦術」VS「才能」が本作のテーマ!
選手たちが一生懸命になって見つけた「戦術」ですが、「才能」を持ったプレイヤーによって崩されてしまうこともあります。
ちょっとネタバレになってしまうのですが、主人公の柚樹たち「県立春日高校」のポジショナルプレーは、名門「西浦高校」のエース・千住一仁のプレイによって崩されることになります。
本作ではそれまでプレイヤーの「才能」よりもポジショナルプレーによる「戦術」の方が優れている風潮だったのが、一気に崩れてしまうのです。
その時に本作の読者はこのように思うはずです。
「サッカーにとって本当に大切なのは「才能」と「戦術」どっちなの?」と。
ポジショナルプレーによる「戦術」は難易度こそ高いものの、努力さえすれば誰でも使えます。
だからこそ再現性が高く、どんな状況でもチームにとって優位に試合を進めることができる安定性が生まれるのです。
しかし我々がサッカーというスポーツに求めるのは、圧倒的な能力を持った最強のプレイヤー。つまり必殺技を持った天才なのです。
敵の「西浦高校」のエース・千住一仁が、凡人では再現不可能なスーパープレイを駆使して得点した姿は、とても美しくとてもカッコ良かったです。
そのシーンは敵のゴールですが、主役が得点したような華やかさがありました。
確かにポジショナルプレーは、どんな凡人でも輝くことができる素晴らしいものです。
しかしリアル漫画問わず、サッカーを見る観客や読者が求めているのはひとりの天才による他の追随を許さ位なような圧倒的なプレイだったのではないか?と思わずにいられませんでした。
冒頭にて「サッカー漫画において試合の勝敗を決める最も重要なものはなんでしょうか?」と訪ねましたが、「超能力」「必殺技」「才能」などを思い浮かべた人も多いと思います。
わたし自身「天才」が活躍する作品に熱中したので、そのような事を思い浮かべていましたしw
「戦術」VS「才能」。本当に優れているのはどちらでしょうか?
このように本作は試合展開を通じ、チーム全員の「戦術」VS個人の「才能」というテーマを突きつけられるので、読んでいると色々と深く考えさせられますよ。
最後に
今回は戦術的サッカー「ポジショナルプレー」の面白さがギッシリと詰まった漫画『TIEMPO―ティエンポ―』を紹介しました。
理論的に組み立てられた試合展開は目を張るものであり、チームたちの戦術が決まるたびに、他のサッカー漫画とは一味違う爽快さや嬉しさを感じ取ることができました。
「ポジショナルプレー」特有の専門用語や選手の動きなどは、図解と試合展開にて詳しく解説されているので、サッカーをやったことのない人でも理解できるはずです。
本作は漫画サイト『となりのヤングジャンプ』や、漫画アプリ『ヤンジャン!』にて試し読みすることができます。
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