『りゅうおうのおしごと!』6巻の感想です。
前巻の”竜王タイトル防衛戦”にて第一部は終了して、第2部が始まろうとしています。今回は新時代の台頭を感じさせるようなストーリーでした。
将棋においても人間関係においても何が起きるのか全く予想できなく、ページを捲るワクワク感が止まりません 。
目次
今回のラブコメイベント
本作の序盤恒例のイチャイチャイベントをまとめてみました。前巻が竜王タイトル防衛戦だったということもあり、このような日常イベントは懐かしく感じます。
ロ●コンを殺す服
八一が対局を終えて帰ってきたら、あいがイメチェンしていました。
ツインテールにランドセル。その格好はまさしく小学生を連想させるようなものです。
これは雑誌から得た情報をもとに立てた作戦です。その雑誌には八一のような「小学生は最高だぜ! 」と思っているような人を落とす為の作戦がいくつも書かれています。
しかも付録に”ロ●コン”を落とすための服まで付いているのではありませんか!
普段あいは大人びた格好をしているので、このような子供っぽい格好は逆に新鮮ですね。
ひとまず「小学生は最高だぜ☆」と叫びたくなります。
シューマイ先生登場
「おち●ぽぉぉぉ」はシューマイ先生が登場した時の第一声です。確か主人公の師匠も同じようなことしてたような…。
彼女はお酒が好きで常に酔っ払っています 。その際に下ネタを放ちながら暴れるので、周りにいる人間はシューマイ先生の暴走を止める為に必死です。
そんな残念シューマイ先生ですが、囲碁の実力者としてその名前が知れていて 、本作の将棋の棋士で例えるとあの”名人”並みにやばい人物なのです。
また、彼女は将棋や囲碁の盤を作っており、作った盤の品質は非常に優れています。
衝撃的なイベント
今回衝撃的だったのは、AIの到来による将棋環境の変化と、新時代をの幕開けですね。
AIは人間の何十倍ものスピードで対局を分析するので、新しい戦法を数多く排出します。それに伴い、今までの常識は通用しなくなりました。
そのせいで勝利を挙げれなくなる棋士がいますが、新時代の流れにうまく乗り、白星を積み上げる棋士もいるのです。
捌きのマエストロの大敗
級順位戦にて捌きのマエストロこと”生石充”さんが戦うことになった棋士は、タイトルホルダーである”於鬼頭洋”さん。
於鬼頭さんはAIに負けて以降、地位や名声を全て失い、ソフトの研究ばかりに没頭 してしまいました。
その結果生石さんに圧倒的な実力差をつけて勝利。将棋界にもAIの時代が到来したのです。
しかも生石さんはこの後に行われる”玉将戦”で於鬼頭さんともう一度戦わなければいけません 。
最悪なことに、生石さんはこの対局にて自分の研究の成果を全て出し切っています。勝つためには新しい戦法を考えるのは必須です。
対する於鬼頭さんは余裕の状態で勝利を収めているので研究の底が全然見えてきません 。
人工知能に育てられた小学生”椚創多”
そして於鬼頭さんの他にもう一人紹介しなければいけない棋士がいます。”椚創多”です。
彼は小学6年生でありながら推奨会3段であり、もう少しで史上初となる”小学生プロ棋士”になるような天才です。
彼もまた人工知能に触れて実力をグイグイ伸ばしている棋士で、夜叉神天衣と対局した際は、彼女を完膚無きまでに叩きのめします 。
実は彼には脳内将棋盤が存在しない代わりに、コンピューターが計算するための”符号”が頭の中に入っており、将棋を打つ際も人工知能が計算するように符号をなぞって次の一手を考え出します。
椚創多の指した将棋は人間がものではなくコンピューターの将棋そのものです。
揺れる銀子
銀子は創多を倒し、あと3段リーグを突破するだけでプロ棋士になれるものの創多の圧倒的な才能を思い知らされると同時に他の棋士との実力差を痛感しプライドをズダズダに破壊されてしまいました。
そのせいで自分がこの先この世界で生き残れる自信を無くしていきます。序盤の頃の凜とした銀子の面影はもうどこにもありません。
実際のところ、他の棋士からの評価はあまり良くなく、対局したら確実に白星をもらえる相手 とまで言われてしまう始末です。
八一に自分の気持ちを分かってもらえない
銀子は八一と一緒にホテルに泊まって、彼をベットに誘うのですが「好きでもない相手とそういうことをするのはやめてください」と断られてしまいました。
彼女は昔から八一に対して恋心を抱いていますが、八一にとって銀子はあくまでも”姉弟子” 女性としては見られていないが現状です。
銀子は対局の疲れと一緒に失恋の苦しみも味わう ことになってしまうのです。
彼女の願いはただ一つ
銀子の願いは八一と公式戦で対局することです。
その夢の為に女流棋士になる道を閉ざし、プロ棋士という茨の道を進むことに決めたのです。しかし対局をするたびに自分と八一の実力が離れていくのを感じ、それと同時に彼との距離感も離れていくような気持ちになります。
作中に女性で女流棋士ではなくプロ棋士を目指している人はいません。なので今の銀子の気持ちを理解できる人は存在しない です。
時代が流れても変わらないもの
このように時間の経過とともに将棋も人間関係も大きく変わってしまいます。ですがそんな将棋界にもいつまでも変わらないような物もある のです。
将棋の神の存在
八一は師匠から「将棋の神様は、将棋を愛する者に宿る」と教わりました。将棋で勝つには実力も大事ですが、何よりも将棋を愛することが必要です 。
同等の実力を持つ棋士同士が戦うとなぜか勝てない棋士が出てきます。
その姿は他の人から見ていると、何者かが勝敗を操作しているとしか思えない のです。その勝敗を操作している何者かを”将棋の神様”と言うそうです。
AIの普及により多くの棋士の将棋観は変わってしまい”将棋の神様”を否定する棋士が増えてきたようです。
しかし”将棋の神様”は存在すると考えて、どんな対局でも手を抜かず、毎日必死に鍛錬を続けないといけません。そうしないと神様に嫌われてしまい、負け続けになってしまいます 。
八一は尊敬する師匠から教わった大切なことを弟子にも伝えました。
将棋が結んでくれた絆
八一は将棋と出会ったおかげで、尊敬する師匠や、強力なライバルたちと出会得ることができました。彼らと一緒に苦難を乗り越え協力する事で、どんな困難でも乗り越えることができたのです。
それは八一の弟子たちも例外ではなく、あいは天衣と対局したことで、負けて悔しいと言う感情を初めて知りましたし、お互いに競い合うことで棋士としても人間としても大きく成長することができました 。
これから八一の弟子たちは多くの困難が降りかかりますが、周りには自分を支えてくれる人がいるってことを忘れないでほしいですね。
将棋は情熱を賭けて戦うもの!
本作の原点は”熱い勝負を書く事”です。この6巻でも色々な棋士の対局が描かれてきましたが、どれも心が踊るような素晴らしいものでした。
将棋の世界は変わり続けますが、それでも棋士たちが己の魂とプライドを賭けて戦っていることには変わりありません 。
棋士たちの熱い戦いは2部になってからも続いていきます。
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熱い感想をありがとうございます。(別に作者とか出版関係者ではなくわたしは一読者です)。
6巻で銀子は奨励会3段リーグにはいっただけです。通過率1割のここを抜けないと男性と伍する女性プロ棋士第1号になれないのです。
コメントとご指摘ありがとうございます。この記事内については修正させていただきました。
当ブログは本作の考察も行なっているので誤った記述になっている記事も存在するかもしれませんが、リライトする際に修正する予定です。
僕は銀子には無事に奨励会3段リーグを突破してもらい「八一と公式戦で対局する」と言う夢を叶えて欲しいです。でないと小学生に好きな人を奪われた銀子が可愛そすぎます。
銀子には原作初期の「凛とした天才」的なイメージが離れませんが、最近の原作ラノベやアニメ7話を見ていると銀子も”普通の女の子”なんだなと実感します。なのでいろんな事に苦悩しているはずです。なので彼女には夢を叶えてもらい最上級の笑顔を見せて欲しいです。